平成八年、登録文化財制度が制定されて、第一号物件として登録された向瀧。
しかも宿泊施設としては、ただ一件のみの登録でした。
平成8年10月01日施行の文化財保護法で、「向瀧」が、第1号物件として、国の文化庁・登録有形文化財となりました。明治6年の創業以来、たくさんのお客様にご利用いただいて支えていただいたおかげでございます。この姿を末長く後世に伝え残すために、日本の宿文化を守りぬくために、今後ともご支援ご鞭撻を宜しくお願いいたします。ありがとうございました。 |
登録有形文化財とは、建築後50年を経過して、
私たちのまわりには、残してゆきたい風景が 意外にたくさんあります。たとえ身近な 建造物であっても、ふたたび造ることの出来ない ものなどは、りっぱな文化財です。 この数々の建造物を守るために、 文化財を資産として活かすことを支援する 新しい考え方制度がこの「文化財登録制度」です。 |
登録番号第07-0001号 向瀧玄関 一棟 |
登録番号第07-0002号 向瀧はなれ 一棟 |
登録番号第07-0003号 向瀧客室棟(花月の間、梅の間他)一棟 |
登録番号第07-0004号 向瀧客室棟(会議室、菊の間他)一棟 |
登録有形文化財プレート |
このたびは、登録文化財制度「第一号」として登録されたこと、大変名誉なことと感じ、会津若松市民の皆様をはじめ、常日頃からご利用いただいている皆様、建築に携わっていただいた職人さん、大切に使っていた先祖、そして一緒に頑張ってくれている従業員に深く感謝をいたします。 会津藩から指定保養所「きつね湯」を引継ぎ、明治六年平田家で営業することとなって、本年創業百二十五年を迎えることが出来ました。今日まで時代に不安を抱くこともあれば、お客様に励まされることもあり、保存活用し続けて参りました。明治時代から昭和初期にかけての建築は、今となっては再現することの出来なくなった材料、職人さんの技などがそのまま残されており、一つ一つに歴史を感じております。中でも昭和四十八年には、高松宮殿下四度目の御来館の際、「鉄筋の建物にはしないでください。」と、お言葉をいただき、この姿を護ってきて本当に良かった、と感じたものでした。 |
|
|
お泊まりのお客様は、心の充電や観光目的の他、建築屋さん、造園屋さん、アトピーの治療の方、などさまざまです。建築屋さんは、館内の天井を見たり床を見たり、造園屋さんは、じっと庭を眺めたり、また治療の方は、お時間のある限り温泉に浸かっていらっしゃいます。それぞれのお客様が、目的に合わせて当館を御自由に使っていただくことは我々旅館業を営むものとして、大変うれしく思います。 私共の施設は、安全性と快適性が、重要なポイントです。今回の登録文化財制度は貴重な建造物を、活用しながら保存するという、我々が待ち望んでいた制度です。「第一号」登録の名誉を傷つけることのないように、安全で快適な宿泊機関を永久的に存続していかなければならないと、責任を感じております。このたびの感激を忘れることなく、初心に返り、皆様の御来館を心からお待ちいたしております。ありがとうございました。 | ||
平成九年六月吉日 会津東山温泉 向瀧 五代目 平田昇 |